第1回MR&MS医療貢献研究会が開催されて
65752⇒53586
これは何を表している数字でしょうか?
MR認定センターが公表している「MR白書」によると、2013年度に製薬企業に所属するMRは過去最多の65752名いましたが、7年後の2020年度には1万人以上減少し、53586名となりました。
理由として、製薬企業の販売する製品が、宣伝回数が売り上げに影響する生活習慣病治療薬から抗がん剤のような、エビデンスの量が売り上げに影響する専門医向けの製品にシフトしていることが上げられます。
また、MRの情報提供活動に様々な規制が加わり、MRには出来ない情報提供が出来るMSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)と呼ばれる職種を各製薬企業が増やした結果、相対的にMR数が減ったことも挙げられます。コロナ禍の2020年度以降は、MRの訪問を制限する医療機関も多く、情報提供のツールがデジタルに移ってきているため、現在はさらにMR数が減っているもと思われます。
では、このままMRは減り続け、その役割を失っていくのでしょうか?
MRひとりが悩み、一企業が頑張っても限界があるかも知れませんが、企業の垣根を越え医療貢献、患者貢献するために何をすればいいかお互いに知恵を出し合い、情報共有することで具体的な行動を起こせば、おのずとMRの社会的存在意義が、さらに高められるのではないでしょうか。
医薬品の流通を取り巻く環境が大きく変化している医薬品卸MSも同様です。
そのような思いで、「MR&MS医療貢献研究会」を有志で立ち上げました。
第1回研究会の講師として、宮崎県立日南病院 患者支援センター センター長 木佐貫篤先生をお招きし、「地域医療におけるMR/MSへの期待」についてご講演頂きました。
実は木佐貫先生は「MR/MSは地域医療連携や地域包括ケアシステムを進める上で、貴重な人的資源になり得る」との思いで、MR/MSの学びの場である「日南紳士淑女の会」を立ち上げ、運営されていたそうです。
インプットだけでなく、自分だったら地域のためにどのような医療貢献ができるのか、さらには企業が力を合わせてどのような貢献ができるのかをディスカッションし、具体的な成果として生み出せた実例も教えて頂きました。
印象的だったエピソードとして、「会社の研修で学ぶ地域医療は文字としてしか頭に入ってこないが、当会での学びにより実践につなげることができた」というMRもいれば、「当会での学びにより、自分のやりたい医療貢献が明確になればなるほど、それは会社から求められているものから遠ざかっていく」という悩みを抱えるMRもいたというお話です。
本当にやりたいことをしようとすると、業界や会社の定めているルール(コンプライアンス)違反となる、会社からは第一に売り上げを求められる(医療貢献、患者貢献が即売り上げに結びつかない)といったジレンマもあったようです。
退職したらやります、という諦めの境地のMRのお話は、身につまされてしまいました。
第1回研究会に参加されたMRの中にも、そのようなモヤモヤとした思いを持っておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
日南紳士淑女の会との共通点は、「インプットにとどまらず、アウトプット(実践)も大切にしたい」ということです。
何を実践すればいいのか?
木佐貫先生の「薬を紹介、売るだけでなく、薬というツールを使って何を目指すのか?」というところにヒントがあるような気がします。
コロナのおかげ、というと語弊があるかも知れませんが、全国どなたでもすぐにリモートでつながることのできる環境になっています。
その意味では、この研究会は今までにない、NewでAbnormal(インプットだけでなく、会員同士の事例検討会、相談会もご用意しております)な会です。
1回目は画面越しでも緊張感漂う雰囲気でしたが(代表が一番緊張していた)、これからはみなさんの心理的安全性が高まるよう、いろいろ工夫したいと思います。
このような閉塞的な時代だからこそ、企業や地域の垣根を超えてみんなで知恵を出し合い「MR/MSが日本の医療を良くするんだ」という気概を持ちながら、明るく楽しく悔いなく、共に学び、実践し喜びを分かち合いましょう!
どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
(内資系製薬企業 MR 松政太郎・MR&MS医療貢献研究会代表)
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