地域の貴重な医療資源 地域包括ケア病棟を知る
2018年5月9日は、第26回を迎えた スキルをみがく地域医療連携実践ゼミナールを行いました。
スキルをみがく地域医療連携実践ゼミナールは地域医療連携に関する学習と理解だけではなく、医療連携や多職種連携に関する課題解決に向け自身が取り組むべき項目を見つけ、行動に結び付けることを目的に開催しています。
ゲストスピーカーは 鶴岡協立病院 地域包括ケア病棟師長 伊藤陽子氏をお迎えしました。
特に近年増えている、医薬品・医療機器メーカー、医薬品卸企業の地域医療連携担当者、MR、MS向けに実施していますが今回のテーマは地域包括ケア病棟だったため看護師や薬剤師の参加が多くありました。
参加者職種は以下の通り(15名)
- 病院看護師 3名
- 調剤薬局薬剤師 3名
- 医薬品メーカーMR 4名
- 医薬品卸会社MS 4名
- 鍼灸あん摩マッサージ師 1名
地域包括ケア病棟は急性期の治療が終了し病状が安定したものの、すぐにご自宅や施設等での療養に移行することに不安がある患者さんに対して、在宅復帰に向けて医療管理、診療、看護、リハビリを行う事を目的とした病棟です。(地域包括ケア病棟に入院出来る日数は60日間が限度になります。)
看護師やリハビリテーションスタッフといった医療者だけではなく、病棟事務やクラークも一緒になって患者さんの在宅復帰に向けたケアや支援をされている様子も知ることができました。回復期リハビリテーション病院や慢性期病院といった機能との違いがわかりにくい地域包括ケア病棟ですが、とても丁寧に説明いただき質問にも丁寧に対応くださったことで参加者の理解が深まりました。
ある意味自由度が高い病棟ではありますが地域包括ケア病床の算定要件をクリアする必要もありますので、病棟管理者には入退院調整の力量が必要になるのだろうと感じました。但し、病院機能によって10病院あれば10通りの地域包括ケア病棟のカタチがあるとのことです。
また、特定の疾患を診る病棟ではなく様々な年齢や疾患の方が入院されるため、病院内の連携だけではなく地域の医療機関や施設、在宅サービスの情報や人を知り・顔の見える関係性をつくる事を重要視されていました。
参加者が4つのグループに分かれ今後取り組みたい項目は以下の通り(一部)
- 地域包括ケア病棟の事例集をつくる(成功例・困難例)
- 地域医療連携に関する出来ることリストを作成する
- 訪問薬剤指導のメリットを広め理解を得る仕組みを作る
- 自身が医療や介護資源の理解を深め患者家族に伝えられるようにする
- そのために、自身がチャンネルを多く持てるようにする
参加者の声
「地域医療連携、情報入手は地域包括ケア病棟だけの問題ではなく病院すべてに通じることなんだよね」
「普段お忙しそうで時間を頂戴するのが申し訳なくて仕事の話以外したことがなかったんですが、今回じっくり話が出来てよかったー」
「あまり会う機会がない業種の人との出会いが面白かった!また来ますね」
「包括ケア病棟の事が理解できて来たし、楽しかった。勉強になりますよ。」
2000年頃から医療連携に関する算定項目が診療報酬に大きく取り上げられ、各病院で地域医療連携室を設置しはじめました。その後、少子高齢化や人口減少、社会保障の問題が実感しはじめたこともあるせいか、どこもかしこも「連携だ・連携だ」と医療連携や多職種連携ネットワークの活動にあわただしくなっています。
運営側ではない、外の人間が地域の連携状況を理解する機会は少ないものです。また、運営側の人では解決策が見つけられなかったことが外の人間のアイデアで解決に結びつくこともあるのも事実です。
山形県庄内地域の地域医療連携や多職種連携に関するキーマンと暮らし仕事を共にする人たちと学習し考える「スキルをみがく地域医療連携実践ゼミナール」の次回開催は7月を予定しています。詳細はこれから調整です、次回もお楽しみに!